中国13億5千万人、アメリカ3億1千万人の人口比率から言うと、わずか1億2千万人、世界第三位の経済大国日本は、紛れも無く世界第一の豊かな国である。
にもかかわらず、26カ国中24位の幸福度であったと言う事実と重ね合わせると、世界一豊かな国日本が、同時に、世界一不幸な国であったことが分かる。これは、明らかに、経済やモノの豊かさが、国民の幸福度とはまったく関係のないものであることを証明している。
世界未曾有の災害に見舞われ、未だに出口の見えない原発事故を抱えながら、国民の多くは凝りもせず、更なる経済の豊かさを追いかけている。モノの豊かさが、必ずしも人生の幸福を約束するマジックでないことを、もうとっくに知りながら・・・にである。
モノゴトには表裏がある。極まれば転じ、表大なれば裏もまた大となる。美食、飽食は現代病を激増させる。新幹線は、旅の途中の楽しさを奪った。エスカレーターは足の機能を弱らせ、フィットネスクラブに貢献した。車のナビゲーターは、ドライバーの土地勘をことごとく失わせ、サプリメントは、人々から味覚と料理の楽しさを奪った。
こうしたモノに依存した人間の生物的退化現象は、身体ばかりでなく、ココロの豊かさをも喪失させる。過剰な便利さは、幸福を感じられない人間を生み出すのだ。我々日本人は、この行き過ぎた豊かさと人間退化の不毛なチキンレースを、この先もまだまだ続けるつもりなのだろうか?(宙八)