国連食糧農業機関(FAO)によると、毎年世界では、生産、加工された食糧の約三分の一に当たる13億トンもの食料が工場や家庭やレストランで廃棄されていると言う。
そんな状況を憂い、今年の二月、フランスでは、戦争で悲惨な食糧難を経験した市議の発議から「食料廃棄禁止法」なる画期的な法律がスタートし、世界的なニュースとなっている。
その法律によると、延べ床面積400平方メートル以上の大型スーパーを対象に売れ残りの食料の廃棄を禁止し、その食料を貧困家庭やホームレス等の生活困窮者に配給する活動を行う団体への寄付を義務付けている。違反者には、3750ユーロ(約48万円)の罰金が科せられると言う厳しい法律である。
かつて、日本では、工場や家庭から廃棄される大量のゴミは、深刻な社会問題であった。しかし、市民活動や行政からの指導があり、今では、分別や収集も見事に改善され、どの地域に於いても市民の間に驚く程しっかりとしたゴミ問題への意識が定着した。掃除によってモノを大切にするという心が芽生えて、無駄なものは買わないようにすると言う消費意識が育ったのだ。
家庭菜園や農業に憧れて自分で作物を作りたいという人が増えているが、とてもいいことだと思う。食べ物を作れば、それがどれほど大変なことかが分かる。当然、食べ物を無駄にはしないという意識も芽生える。ぜひ日本でもフランスに習いこの法律を一刻も早く成立すべきだ。日本人が変わり社会が変わる法律にきっとなるはずだ。勇気ある政治家の出現を心待ちにしたい。