2013年2月8日金曜日

「豊かさと人間退化のチキンレース」


  中国13億5千万人、アメリカ3億1千万人の人口比率から言うと、わずか1億2千万人、世界第三位の経済大国日本は、紛れも無く世界第一の豊かな国である。

 にもかかわらず、26カ国中24位の幸福度であったと言う事実と重ね合わせると、世界一豊かな国日本が、同時に、世界一不幸な国であったことが分かる。これは、明らかに、経済やモノの豊かさが、国民の幸福度とはまったく関係のないものであることを証明している。

 世界未曾有の災害に見舞われ、未だに出口の見えない原発事故を抱えながら、国民の多くは凝りもせず、更なる経済の豊かさを追いかけている。モノの豊かさが、必ずしも人生の幸福を約束するマジックでないことを、もうとっくに知りながら・・・にである。

 モノゴトには表裏がある。極まれば転じ、表大なれば裏もまた大となる。美食、飽食は現代病を激増させる。新幹線は、旅の途中の楽しさを奪った。エスカレーターは足の機能を弱らせ、フィットネスクラブに貢献した。車のナビゲーターは、ドライバーの土地勘をことごとく失わせ、サプリメントは、人々から味覚と料理の楽しさを奪った。

 こうしたモノに依存した人間の生物的退化現象は、身体ばかりでなく、ココロの豊かさをも喪失させる。過剰な便利さは、幸福を感じられない人間を生み出すのだ。我々日本人は、この行き過ぎた豊かさと人間退化の不毛なチキンレースを、この先もまだまだ続けるつもりなのだろうか?(宙八)





2013年1月3日木曜日

「いのちの感性」を取り戻す年にしよう!

 新しい年は、人のこころをリセットさせる。こころには時間の制約も空間の制約もない。その気になれば瞬時に転換できるのがこころと言うものだ。そんな便利なこころを持ちながら、人は驚くほど変わらないこころをもまた持っている。

 昨年の暮れには、「アラブの春」ならぬ「日本の春」が来るかも知れないと期待もしたが、多くの国民は再び、経済や便利さという妄想を追いかける道を選んでしまった。更なる悲劇が起こらんことをこころから願うばかりだ。

 しかし、そうした過剰な豊かさや便利さは、人間の感性を間違いなく貧しくさせる。車は人の足を萎えさせ、高速列車は、旅の途中の楽しさを奪った。携帯電話は、人の触れ合いの嬉しさを減少させ、ナビゲーターは、方向を見定める感性を鈍くさせた。自然との触れあいを求める人々が増え、健康法やランニングブームが社会現象なのは、現代人のそうしたいのちの危機の現れだ。

 本来、物質的な豊かさとは、人間がより幸福に生きるための目的だったはず。しかし、それを求めれば求めるほど身体とこころは貧しくなってしまった。そんな答えは知ったはずなのに、再び我々は同じ道を歩もうとしている。お金やモノが人生の目的になったところに日本人の最大のジレンマと悲劇がある。「知足(足るを知る)」は、過剰な欲望を戒める素晴らしい言葉だが、我々は、すっかりそんな生き方を忘れてしまった。

 こうしたタガの外れた欲望は、食の世界に於いてはさらに明白だ。外食や総菜もの、ファーストフードやコンビニ食が当たり前の食事となった。買っては捨て買っては捨てている美食、飽食が食事になった。それでも足りずに機能性食品、サプリメント、栄養剤を買いにドラッグストアに駆け込む。一億二千万総人口が「栄養不足心配症候群(シンドローム)」にかかっている。

 しかし、人の身体は、過剰な栄養分を摂り込めば摂り込むほど、健康を維持するための機能が衰える。栄養剤は、飲むほどに自力で栄養を造り出す力が衰え、免疫力、治癒力の元となる腸内細菌(バクテリア)を減少させ、いよいよ食物から栄養を取込むことの出来ない身体を造ってしまう。

 病人が増え、栄養失調の患者が激増している事実が、現代人の食べ方の過ちを裏付ける。日本人の心身は完全に本来の感性と力を失ってしまった。満足しないいのちは「もっともっと」を追いかける。

 食をつつしみ、簡素な生活に美と豊かさを感じ、自然と触れ合うことに喜びを感じていた日本人の感性をもう一度取り戻すこと。そんな身体性の回復なくして、日本の再生も発展も絵に描いた餅となる。今年こそは一人一人の国民がそれを実行することを心から祈りたい。

 今日もまた、テレビの株式市場が、人生の豊かさだといわんばかりに株の数値の上がり下がりを報じている。いつの日か、国民の総幸福度(BNH)がテレビで流される日が来ることを願うばかりである。宙八


2012年12月4日火曜日

日本と世界が変わる一票を!

いよいよ16日に、今後の日本と世界を大きく変える選挙が行われる。

  どんなに高邁な思想を持ち、未来につながる行動を心がけていても、私たちの生活、人生を日々大きく左右する環境そのものである国の仕組みを変えない限り、まだまだ遠い夢物語になってしまう。それが厄介ではあるが、決して無視することが出来ない政治と言うものである。 

 以前、アメリカ人の知人が教えてくれたことがあった。アメリカと言う国でアメリカ人になるには、三つの義務を果たさなければならない。その一つは、納税をする義務、第二は、法律を守る義務、そして、第三が、選挙をする義務だと言う。 日本では、ややもすると選挙は、国民の権利であると考えられがちだ。国政を担う人間を自分の一票が決められる。と言った具合で、今でも、多くの国民がそんな風に思っている節がある。また、メディアではそういう言い方を聞く場合が未だに多い。だから、選挙に行かないのは、単なる権利の放棄であって、国民としての義務の不履行だなどとは少しも思っていない。

  ところが、あの民主主義国家であるアメリカでは、選挙は、国民の誰もが果たさなければならない義務なのだと言う。まさにここに、日本がまだ国民の一人一人が自分の国をつくるのだと言う意識が持てない、いわゆる本来の民主主義国家の国民が持つべき精神に至っていないという現実が見えて来る。

  最近読んだ本の中に、日本は、社会主義国家である。と言う説があったが、まさしく、いろいろなことを見て来ると、日本はまだまだ、真の民主主義国家になどはなり得ていないのだとそう思える。 3.11の東北大震災、原発事故の被災者となって、この国が未だに民主主義でも、自立した国家でもないことを厭というほど知った。近代国家の態としてはまだまだ未熟な国だったのだ。そのアラワレが、事故後の政治、官僚、学者、メディア、国民等々のありとあらゆる分野に見て取れた。日本どころか、世界を震撼させ文明を変える歴史的事故を起こした当事国でもあるにも拘わらず、未だにその向かうべき未来への道筋をまったく歩けないでいる。 

 今度の選挙は、そんな日本が、国民自らに、あるいは、事故後注視する世界の国々に対して、その期待に応えることのできる国民であるかどうかを、態度ではっきりと示すことの出来る最後のチャンスでもある。 三年前、日本を変えて欲しいと思って選択した民主党にはがっかり、事故の張本人でもある自民党が、この機に及んで人気が出ているらしいが、昔の栄華の復活だけが目的の時代遅れの政党にも、もうこりごりだと言う多くの人の判断もまた正しいと思う。

  私のこの義務の一票を何処に投じようか?私自身も迷った。これまで期待していた維新の会へ投じるべきかどうかも散々迷ったが、どうやら、その集団も事故の原因となった悪しき日本の官僚政治の解体には期待が持てそうだが、それ以上の日本や世界の未来を見据えた政党ではないことが見えて来た。これで今度の選挙も期待が出来ないなとかなりがっかりしていたところへ、ようやく、唯一期待が持てそうな政党がぎりぎりになってようやく出て来てくれたようだ。滋賀県知事の嘉田知事の「日本未来の党」である。

  原発事故への取り組みは、ただ一国の課題などではない。それは、私たちの人生ばかりでなく、子々孫々に至、未来を左右し、これまでの文明を大きく転換させることの意味をも持つ問題なのだ。どの人に一票を投じるかは国民一人一人の義務である。ぜひ、意識を集中し予断なく一票を投じてもらいたいと思う。宙八

2012年11月15日木曜日

食の改革を見習え日本!

 モノゴトは、極まれば転ずると言われる。その言葉の通りに、あのファーストフードの国、アメリカの食へ取り組みが、今、大きく変わり始めているとテレビが伝えていた。 

 肥満があらゆる病気の温床になることは広く世界で知られているが、アメリカ国民の病気の激増とそれにかかる医療費の高騰は、我々日本人の想像以上に深刻のようである。 アメリカの医療費は、とても高額である。注射一本が1000ドル、約8万円。骨折の治療費が100万円から150万円。ちょっとした手術でも400万円から600万円もかかると言う。この金額ではとてもじゃないが、失業者や貧困層が治療を受けられるはずがない。怪我をしても救急車を呼べないのがアメリカだという話は以前からよく聞いたが、この医療費を聞くと納得がいく。 

 そんな国民のためにオバマ大統領は、広く多くの国民が医療を受けられるように「オバマケア」と言われる社会保険制度を打ち出している。しかし、そんなことをしたら社会主義国だ。と感じるアメリカ人も多いようだが、もはや、そんなことも言ってられないと言うのがアメリカの医療の現状のようである。 

 これを予防の面からも打開しようと学校給食がその内容を今大きく変えようとしている。 肥満を防ぎ、病気にかからないためと言われるある日の小学校の給食メニューは、豆腐のソテー、サラダ、バナナ、パン、牛乳。肉は極力出さないと学校の担当教師は言う。高校では、ヘルシーメニューを研究するクラブが出来、生徒自らがこれまでの食習慣を変えようと懸命に努力している。政府も、学校からコーラなどの清涼飲料水の自動販売機を完全に撤去したと大分前に聞いた。 この番組を見ていて、アメリカには未来の希望があると感じた。

 一方、最高の健康食と世界の専門家が認めている日本食だが、未だに、過去の欧米食を追いかけている日本は、その食事の内容を変えることが出来ていない。幼稚園、小学校の給食の内容を知ると暗い気持ちになるし、最高学府の大学の学生食堂の中身を見ると、この国に未来がないことを実感する。

  原発問題に限らず、早急に取り組まなければならない年間40兆円も使われている国民医療費、予防のための政策を打ち出さなければ、近い将来に国家の破産さえ危惧されている。この国の国民、政府が目覚めなければならない問題がここにもあることを認識したい。

2012年10月3日水曜日

「原発より怖い電磁波」講演会のお知らせ

10月 講 演 会の お 知 ら せ (NPO2050)

  私たちの身の回りにはおびただしい電磁波が飛び交っています ― 家電、パソコン、携帯電話、住宅の周辺に網羅する電線や電波塔の数々。これらの電磁波が私たちの生命や健康にどの様な影響を与えるのか、まだ誰にも確かなことは分かりません。でも、私たちは毎日の生活を通じて、電磁波の影響を感じています。将来的には間違いなく深刻な社会問題となるだろうと感じますし、専門家もそう警告しています。

  そこで、原発、電磁波、放射能などの研究に従事し、第一人者と認められている荻野晃也氏にお願いして、電磁波の成りたちから増大する発生源の性質と生物への影響についてお話を伺い、自衛の途を探ろうと考えています。是非、ご家族・友人をお誘いの上この集いにご参加ください。

  テーマ: 『原発より危ない電磁波社会の到来!』
  講 師: 荻野晃也氏 電磁波環境研究所所長 原子核物理学、原子核工学、放射線計測学、電磁波工学などを専門とする一方、原子力・核問題・人権・環境問題・電磁波問題にも物理学者として関る。これまで伊方原発訴訟の住民側特別補佐人、「地震活断層原因説」による原発耐震問題の危険性の証言、福島原発事故に関する講演など、常に住民・市民側に立つ科学者でありつづけている。

 著書には「ガンと電磁波」、「ケイタイ天国・電磁波地獄」など多数がある。 と き: 平成24年10月8日 (月曜日) 午後13時~ 15時 ところ: 東京都港区立エコプラザ 3階 会議室A    東京都港区浜松町1-13-1 電話03-5404-7764   (JR浜松町北口下車4分、 都営大江戸線大門駅B1出口下車3分) かいひ: 会員 500円   非会員 1000円

2012年9月3日月曜日

一緒に中国植林ツアーへ行きませんか?

 私が20年来かかわっているー地球と子どもの未来のためにーNPO「2050」(にせんごじゅー)、これまで途上国の女の子たちが学校に通うための奨学金の支援、途上国の環境、貧困の状況を視察するツアー、地球規模問題について国内の講演会等々をしている団体である。

  このNPOで、十数年継続している活動が、中国黄土高原での植林活動だ。現在では、現地の農民、子どもたち、自治体、中国政府関連の各団体とも協力して十数年来大きな成果を上げている。 ご存知のように、砂漠化が激しい黄土高原では、いかにこれを食い止めるかがかねてよりの大きな課題である。これは、中国国内の問題に限らず、黄砂としてその砂塵が飛来する日本にとっても、また、世界に広く影響のある地球規模問題でもある。

  この深刻な状況を少しでも食い止め、中国国民、政府に砂漠化防止の意識を持ってもらい植林活動が広まる事を願い、20年近くこつこつと活動をして来た。最近は、コスモ石油にも資金援助をもらっている。 砂漠化を食い止めるには、砂漠状態でも生き延びることの出来る植物を植えて行く必要がある。それが、砂漠で取れる貴重な果実である「沙棘(さじ)」と言う灌木である。かなりの乾燥地帯でも生き延びることが出来、3年ほどで、見事な実をならせる。この実は、昔から肝臓に大変効果のあるものとして漢方でも重宝されて来た。近年では、ジュースにして飲む健康食品として日本国内に於いても広く知られている。

  植林活動は、シルクロードの出発点である黄土高原の甘粛省。この地の植林地に赴き、数日間、現地の農民たちと植林をして来る活動である。日程は、10月24日から31日の8日間。参加費用は、交通費、宿泊費他を入れて昨年の例で言うと18万円程度になる予定。成田発、成田着。 橋本宙八が団長として行きます。中国の環境問題の現状を視察に、農民や子どもたちと一緒に植林作業をし、シルクロードの黄土高原を肌で感じて、地球規模の問題をともに考えましょう。地元の農家の素朴な諸食事も魅力です。ぜひ、関心のある方、ご一緒しませんか?老若男女、どなたも大歓迎です。 メール:chuya@macrobian.net 橋本宙八まで連絡下さい。

2012年8月31日金曜日

朗読劇のおすすめ

 私が20年来かかわっているNPO[2050]主催の環境朗読劇です。 宙八おすすめの劇です。ぜひ観に来て下さい。  
 
  内容:  昨今の異常気象や環境問題は世界規模で私たちの生命を脅かしております。しかしながら、私たちは目前の生活や経済活動に目を奪われ、地球の将来に対する対策を講じようとしておりません。2050はこの様な市民のあり方に大変な危機感をもっております。そこで、来る9月は、「講演」ではなく、その代わりに、レイチェル・カーソンの「センス オブ ワンダー」を、二人の出演者と演奏者による朗読劇として上演し、皆様に環境問題の原点を考えて頂きたく思います。    

 東北大震災で私たちが失ったものは、今、人類が世界的な規模で失おうとしている何かを予感させられます。レイチェル・カーソンのメッセージから、「私たちが今取り戻さなければならないものは何か」を是非一緒に考えましょう。 ナガノユキオの作・演出によるこの朗読劇は全国で上演されている話題作です。 是非、ご家族・友人をお誘いの上この試みにご参加ください。

 と き: 平成24年9月15日 (土曜日) 午後1時00分~3時00分 ところ: 東京都港区立エコプラザ 3階 会議室A 東京都港区浜松町1-13-1 電話03-5404-7764   (JR浜松町北口下車4分、 都営大江戸線大門駅B1出口下車3分) か い ひ: 会 員  500円  非会員 1,000円