先日、京都で出会った放射能計測の専門家が、汚染状況を詳しく測るためにわざわざいわきの自宅まで足を伸ばしてくれた。その調査結果を見た彼が「ここはもう人間の住める場所ではないよ」と言ってくれたことが、フクシマからの撤退をいよいよはっきりと覚悟させてくれた。
昨日その彼と話をしていて、改めて日頃我々が目にしたり耳にしている政府、東電、メディアからの情報がいかに欺瞞に満ちたものであるかを再認識した。
その中の一つが、津波から原発を守ると言われている防護壁の問題である。決して完璧ではないだろうが、いくらかは効果のあるものだとは思っていたが、じつは、あの壁がまったく役に立たないものだという話である。
原発は、原子炉を冷やすために巨大な管を海に伸ばして施設に大量の海水をとり込んでいる。その管の口は四六時中塞がれる事はなく海に解放されているので、津波の際には、壁があろうが無かろうが、この管を通して海水が施設に逆流するのだと言う。事実その通りに3・11では、高台にあったにもかかわらず女川原発ではそれが起こり、原子炉が停止するという緊急事態が起きていた。
「えっ、あの莫大な税金を投入して造っている高い壁が何の役にも立たないものなの?」と聴き返した私に、「えっ、効果があると思っていたの?」といわんばかりに一笑されてしまった。「そんな大事なこと誰もからも聴いていないぞ!」と思ったが、実際、その管の存在を知ってみると、壁を高くすることがいかに無意味であるかが容易に想像できる。
「原発完全収束宣言!」「原発は完全にコントロールされている!」に象徴されるように、我々一般市民は、政府、東電、メディアからこの二年半、散々騙され続けて来た。そして、間違いなく今後も騙され続けることだろう。騙す方が悪いのか?騙される方が悪いのか?結局は、単純にどこかで彼らを信じてしまうこちらが無知で馬鹿なのだ。と改めて知った話であった。
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