地球の資源が有限であることは誰もが知っている。その資源をどう公平に配分出来るかが、世界の格差をどう改善できるかの大きな課題である。
特に、途上国の人々の格差は深刻だが、この格差を生み出している原因が、私たち先進国の社会構造の中に潜んでいる。この構造を変えることが、じつは、途上国の格差を改善するための大きな鍵にもなる。
最近、世界の資産を誰がどう持っているかを示した「富のピラミッド」が広く知られるようになって来た。それによると、世界の総資産の85%は富裕層の20%が所有しており、さらに、わずか1%の超富豪が世界の全資産の45%以上を占有していることが分かった。
なぜこんな社会になってしまったか?それは、富める人々が、その富の力によって社会を自分の都合のいいものに変え、さらに多くの富を手に入れ、儲けるためにさらに社会を都合のいいものへと作り変えているからだ。
その結果、貧しい人々が働けば働くほど、その努力で得たささやかな富でさえ、1%の人々に搾取されてしまう。豊かな人々はより豊かに、貧しい人々はますます貧しくなって行く、それが現代社会の仕組みである。
人間以外の生き物の世界には、こうした不公平は存在しない。一つの種が一方的に増え、他の種だけが滅びてしまうと言う事はあり得ない。草食動物の減少は、即、肉食動物の死に直結する。どの生物も互いに助け合い、自他一体の関係にあるのが自然界のバランスである。
その意味では、この偏った人間社会の構造は、間違いなくやがて崩壊する。しかし、現時点では、まだその転換の兆しが見えて来ない。むしろ、その傾向はますます強く、より拡大するようにさえ見える。
では、この不公平な仕組みを改革する事は可能なのだろうか?楽観的に言えば、答えは「イエス!」である。
それは、我々一人一人がこの社会構造から外れることを実践することだ。つまり、豊かな人々が搾取する仕組みを、下から支え続けることを止めればいいだけの話である。そうすれば、自ずとこの社会構造も崩壊する。
具体的な一つの方法は、少しでも多くの人が、都会から脱出する事だろう。都市から田舎に移り住み、田や畑を耕し、食糧の自給を心がけることだ。自分が使う水、電気、暖房等も自然エネルギーを利用し自給する。健康も他人任せにせずに自己管理を心がける。今の不公平な社会に頼らない自立した生き方を多くの人が実践すれば、やがて、この社会もきっと変わる時が来る。
しかし、当然、すべての人が田舎に移り住むことは無理だろう。でも、都会に住んでいても、自分の考えを変えることくらいは出来るはずだ。まずは、この社会に抱く豊かさへの幻想を捨てることだ。社会への依存心を極力減らし、これまでの考え方、価値観、人生観を変えることに少しでも努力することである。
年が明けて、そんな風に変わろうと試みている人々を取り上げる新聞記事を多く目にするようになった。社会とは、一人一人の集合体である。この不公平な社会も、我々自身がつくったものであると分かれば、その変革もまた我々にかかっていることが見えて来る。
変わらなければならない日本と日本人。まずは、自分が変わることから始める一年でありたいと思う。