2014年7月11日金曜日

ミツバチ減少で知る自然の危機的状況

 先日、友人の縁で、京都市の郊外で養蜂を営む家を訪ねる機会があった。そこでは、年に二回ほど交流会が開かれていて、屋外で食事を楽しんだり、夜には蛍を鑑賞したりして、互いに交流を深めあう、そんな会だった。様々な分野の人たちの集まりで、とても楽しい一時でもあった。

 そんな養蜂家の口から、ここ数年はミツバチの数が極端に少なくなったと聞いた。そのために、もう自分のところだけでは十分なハチミツが採れないので、いろいろな人たちに養蜂箱を委託して、蜜を集めてもらっているそうだ。

 ミツバチは、例年に比べて半減以下になったそうである。世界的にもミツバチが減少していることは、ネットやメディアで知ってはいたが、当事者の話は想像以上に深刻な状況を実感させてくれた。

 原因は、田んぼや畑の農薬の散布によるものだと言う。農薬の散布でミツバチが死んだ事実が、ミツバチの死骸から検出された農薬で分かったそうである。携帯用の電波塔からの電磁波の問題も取りざたされてもいる。他にもまだまだ多くの原因が潜んでいるかも知れない。

 いずれにしても、ミツバチは、植物にとっていのちをつなぐ重要な受粉や交配の役割を果たしている。ミツバチが居ることで植物は花を咲かせることが出来、野菜や果物も実をつけることが可能となる。ミツバチの消滅はそのまま自然環境の仕組みの破壊、食糧生産への危機的問題へとつながる。

 生命にとってかけがえの無い自然環境は、あらゆる昆虫、動物が一体となって創造し、織りなす世界である。その一員であるミツバチが減少するだけで、植物の世界は二度と回復が出来ないほどに破壊されてしまう可能性があるのだ。

 ミツバチが働いてくれているお陰で、私たち人間は畑で野菜や果物を栽培することができる。もしミツバチが居なくなったら、自然界は?食糧の問題は、一体どうなってしまうのか?考えただけでも恐ろしいことである。

 農薬の使用は、農業に携わる人たちへ大きな健康被害をもたらす。そして、ミツバチを殺した結果、そのつけは間違いなく私たち人間の世界にも回って来る。自然界は、あらゆる生物が一心同体となって織りなすたった一つの世界なのだ。

 そんな自然をことごとく破壊し続けながら、人間だけは栄えることが出来ると言うことはあり得ない。そんな妄想はもう止めなければならない。かけがえのない自然環境が、想像以上に待った無しの状況にあることを改めて教えてもらった、貴重な集いでもあった。


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