自然食ブームや多くの有名人が実践する「食物による健康法」の先駆けとして世界的に知られるようになった「マクロビオティック」は、日本人の桜沢如一(さくらさわ ゆきかず/1893年〜1966年)がその創立者である。
国の内外を問わず多くの弟子を育てた彼は、戦前、フランスのパリを拠点に活動を展開していたが、第二次世界大戦が始まり、学徒出陣などで次々に戦争に駆り出されて行く日本の弟子達に向けて、反戦のメッセージと知られないように打った電文が「オシモノヲツツシミテ、サイゴニカツモノタレ!」だった。
今、世界は、これまでに見られなかったほど危機的な状況に見舞われている。気候変動による洪水や干ばつ、竜巻、原発事故、戦争の危機や経済格差、テロや凶悪犯罪、飢餓や貧困等々。これまで危惧されていた地球規模の危機的課題が次々と現実のものとなっている。まるで戦時下の樣だと、戦争を知らない身でもつくづくそんな危機感を日々感じる。
生物は、長いサバイバルの歴史の中で、飢餓の環境を必死で生き抜いて来た。そのために飢餓には本来とても強い。動物が病気や怪我をした時に断食をするのは、自らの生命力、治癒力を引き出すためのいのちがけの賭けでもある。
唯一、人間だけはこの本能を忘れてしまっている。それどころか、「飽食、美食」という未だかつて生物が体験したことのない未知の領域に挑み続けている。そして今、その勇気ある挑戦者たちが次々と倒れて行っている。
生活環境が厳しくなればなるほど、生き物は、その持てる本能を全開にして生き抜く力を高めていかねばならない。どんな環境下でも、「自分のいのちは自分で守る!」ことが生き抜くための必須条件となる。食のコントロールは、そのための生き残りの智慧。「食しものを慎みて最後に勝つものたれ!」は、生命の危機の時代を迎えた我々への、先人からの熱きメッセージでもある。宙八
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