こどもの頃。化学調味料は、頭を良くするものだと洗脳された。漬け物やトマトにまで、真っ白にかけて食べたものである。ラーメン屋に入るとどうしてラーメンはこんな旨い味が出るのか?カウンターの中を覗いて、それが、サジ山盛りの化学調味料によるものであると分かり、家の食卓でも真似ていたものである。
この頃の外食では、漬け物や野菜、果物の味が極端に悪くなっていることに気付かされる。当たり前の自然な味を持った漬け物に出会うことがほとんどない。一口食べただけで、明らかに薬物処理されたものであることに気付く。とても飲み込める代物ではないのだ。
サラダの野菜や果物もまったくいただけない。勿論、外食でオーガニックの野菜や果物などは期待すべくもないが、とにかくどちらもまずい。とても野菜とは言えない味気のない野菜だったり、果物なんかも、まるで違和感のある甘みで辟易する。しばしば、洗剤の味が口の中に広がりこれまた飲み込めたものではない。
梅干しに至っては、モノがモノだけに最悪である。まるで、塩味や酸味が敵でもあるかのように、おしなべて妙な甘い味がついている。焼酎漬けなどはまだいい方で、しばしば、食べて気持ちが悪くなる薬物で処理されている。そんな梅干しが、ホテルなどでも今や当たり前のものになってしまった。
現在の食品技術を持ってすれば、とにかく、ありとあらゆる食品の味つけが、薬物処理でコントロールできるそうだ。卵や魚の切り身、肉等もほぼ間違いなく旨味が味付けされていると言う。そんなニセモノを食べて旨いと思ってしまうのだから、売る側にとってはこれほど楽なことはない。
本来、味覚は、美味しさを知る感覚であると同時に、危険を察知する感覚でもある。それが、ほぼすべてと言っていいほど食品がこうした技術で処理されていて、いわば、味が偽装されているので、いつの間にか、もうそのニセモノの方が本来の味なのだと錯覚するまでになっている。じつに情けないことである。
今後、食のグローバル化はどんどん進む。これまで国内でそこそこに規制されていた食品もいよいよどれもがフリーになる。表示義務も、売る側の都合で勝手に無用の時代になって行く。いのちにとっては恐ろしく危険な時代に突入する。いや、すでにもうそうなってしまっていることに気付く必要がある。
現代のあらゆる病気の温床が、この食物の危険な処理、品質の劣化の上にある。この食の激動の時代を生き抜いて行く為には、本来の味をしっかりと嗅ぎ分けられる舌を持つ事がとても大切だ。不自然な食は、ますます自然の味の分からない舌をつくる。騙されない味覚を持つことがサバイバルの条件となる時代である。
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