2010年2月14日日曜日
インド回想記(5)女性のパワー
インドの農村では、女性の地位がまだまだ低く、直接収入を得る道がほとんど無いと言ってもいいでしょう。そのため、州政府は、NGOと協力して、女性たちが賃金を手にすることが出来る様々な仕事を作り出そうと努力しています。
この写真は、そうしたプロジェクトの一つで、大勢の女性たちが湿地にある砂を運び出す土木工事の様子です。皆、素足で泥の中に入っています。二列になって並び、その先頭に男性が居て、短い鍬を使って砂をざるに入れます。それを、並んだ女性たちが手渡しで隣の人に渡して行くのです。一方の列で砂を運び、もう一方の列でその空になったざるを戻します。
広大な湿地の砂をそんな人海戦術で運び出せるものかと、土木機械による工事が当たり前になっている日本人の感覚では、大いなる?でもあったのですが、見る見るうちに、最後尾の女性の足元に巨大な砂の山が作られて行きます。40度はあると思われる炎天下で、延々、2時間近くもこれを休まずにやるのですからすごいもの。恐るべき女性パワーには大いに感動でした。そして、女性たちには、わずかな金額であってもしっかりと賃金が支払われます。素晴らしいことでした。
休憩時間には、炊き出しチームが、巨大な鍋で紅茶を煮て、牛乳を注いだインド特有のチャイを一杯飲み、再び仕事にかかります。
じつは、15年前に北インドを旅した時には、農村では、農作業はすべて女性。家事も女性。男たちは、昼間から、酒を飲みトランプに興じていると聞き、男性に金が渡るとギャンブルや酒に消えてしまうけど、女性は手にしたお金を必ず家族や子どもの教育のために使うと聞き、女性支援の大切さを学んだものでした。どこの国にもありがちなこと?
こんな重労働を一日中やりながらも、女性たちの輪の中には笑い声が絶えませんでした。「強き者、汝は女なり!」の神話は、ここインドでも生き生きと息づいています。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
2 件のコメント:
この写真を見ていると、女性の地位は低く貧しいかもしれませんが、人間が自然の一部であることを認識しますね。
私の体の一部であれ土に触れたのは何時だったのかもう記憶にもありません。自分が自然から切り離されてしまった、近代になって、神ではない何者かによって造り出されたもののように感じます。
細胞の記憶の中から消えてしましそうな、意識して、覚えておかなければならない何かがあるような感じがします。
ネパールで女性のエンパワメントのプロジェクト現場を視察したときも、このタイトルにあるような女性の力強さを感じました。一度は行ってみたい国インドですね。
コメントを投稿